めでたく掃除が出来たので、次はサッシを補修します。
押さえのゴムは伸びきって外れ、雨水が浸入する事態となっています。これを何とか対策しないといけません。
サッシの押さえゴムは、ガラスを包み込むようなタイプと、両面から押し込んであるタイプに大別できます。ガラスを包み込むタイプの場合は、一度ガラスを外して新しいゴムで包み込んで填め直す必要があります。サッシ屋かガラス屋に頼るほかありません。
見てみると、両側から別々のゴムで押さえてあるタイプでした。同じゴムさえ手に入れば、ガラスが揺れないように押さえながらゴムを取り替えればいいだけなのでこれは楽そうです。
ですが、この換えゴムというものが市販されておらず、簡単には手に入りません。やはりガラス屋に頼むしかなさそうです。
そこで考えた。
こんな大きなはめ殺しガラスを、割れてもいないのに交換することは絶対にないであろう。多少乱暴でも隙間さえ埋まればよいのだから、コーキングをすれば良いのである。割れたときはどっちみちガラス屋の世話になるのだから、コーキングを剥がす時の手間のことなど考慮せずとも良い。
というわけでコーキングに決定。
念のために防腐剤入りの透明シリコンを仕入れてコーキングです。
劣化したゴムをてろてろ~と剥がしてハサミを入れ、ガラスが揺れないようにところどころくさびのように差し込んでおきます。
テープを貼り、コーキングガンに仕込んだシリコンを大量注入。
片面が乾いたら、反対側も同じように注入。
大変下手糞な仕上がりでちょっとショックでしたが、目的は果たせました。次の大雨の時に真の成功を確信できるはずです。
さて、というわけで掃除も出来たし、劣化ゴムを捨ててコーキングも新しくできた。これでお仕舞いにするかというとやはり悪い虫がもぞもぞと出てきます。
コンセント用の線が一本このあたりで余っており、これはもともと蛍光灯近くにあったコンセントなんですが、天井工事の際に外して新しい設置場所が決まらないままぶらんとぶら下げたままになっています。
よし。この線を使ってみよう。
木枠の上部に穴を空け、電球のソケットを仕込み、ぶら下がった電線を利用して配線、スイッチも付けてみます。
7Wの電球を仕込みました。
どうでしょう?
木枠と、すぐ横の鉄骨の間に50mmほどの隙間があり、ここを埋めるついでに、スイッチの場所を作ってみました。
また小手先の小細工を入れ、パテで覆い尽くし下地材を塗ります。下地材には絵を描くときに使うジェッソというものを使いました。
何をする気でしょうか。
次はこんな色をこんな風なタッチで塗ります。
色を変えながら何度か重ねています。
最後はご想像の通り、木のような塗りになりました。
木目や石目を手描きで入れるペイント、正式にはTrompe L’oeil(トロンプルイユ・だまし絵)を形成する一技法です。現代ではもう少し簡易的な仕上げを特殊ペイント、トールペイントなどと呼び、内装や補修、DIYで広く使われるようになっています。昨今、不勉強な設計士がこういうペイントのことを「エイジング」と呼ぶ由々しき事態となっていますが、エイジングとトロンプルイユは全く異なるものですのでご注意を。
ちなみにエイジングというのはその名の通り経年変化を表現することで、映画のセットで使われるストーリーのある古色処理の応用技術を指します。古い建物の色や遺跡の表現でおなじみですね。博物館のレプリカや修復などでも似た技法が使われていました。日本では東京ディズニーランド建設時に建築にこの技法を取り入れる考えが入ってきて、エイジングという言葉が一気に広まったと記憶しています。
映画のセットが照明とレンズ越しであることを踏まえたコントラストの強い表現であるのに対し、その技法を建築に用いるときにはより繊細な仕上がりを求められます。当時エイジングを依頼するにはトロンプルイユや壁画の技術を持つ美術家が最適だったのですね。日本でのそういう特殊な歴史が、昨今「エイジング=トロンプルイユ=壁画=書き絵=補修=汚し塗り=塗装」みたいにどんどん変なことになってきた原因のひとつであると思われます。
おっと脱線が長くなってしまいました。
そんなわけで、この木目みたいな塗装はもちろんちゃんとした仕事でやるような丁寧なものじゃなくて適当なものですが、隙間部分はちゃんと収まりました。
養生を取ると、木枠側の白い汚れのほうが目立ちますね。こっちのほうをなんとかしないと。
さて、せっかく大きなガラス部分が改装されて電気まで付いたので、またここで下らないことをして遊んでしまったりします。
・・・・・・・。
また何を馬鹿なことをやってるんでしょうねえ。
こんなことをするから、またほら、ウインドウディスプレイ計画が新たに沸き起こって来るじゃありませんか。
もうちょっと偉そうな物を飾ってみようか、画廊みたいにしようか、なんて思ったりして。・・・でもペンギンも捨てがたい。
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